中古マンションを探していると、エレベーターがあるものとないものを目にする機会があるでしょう。
エレベーターありのほうが良いと思われるかもしれませんが、エレベーターなしの中古マンションにもメリットがあります。
そこで今回は、マンションにおけるエレベーターの設置基準のほか、エレベーターなしの中古マンションに住むメリット・デメリットを解説します。

マンションにおけるエレベーターの設置基準

マンションのエレベーターには、設置基準が設けられています。
どのようなマンションにエレベーターが設置されているのか、その内容を見てみましょう。

建築基準法による設置基準

建築基準法では、高さが31mを超える建物に対して、エレベーターの設置が義務付けられています。
高さ31mのマンションがどの程度の大きさかイメージしにくいかもしれませんが、階数に換算すると7～10階に相当します。
7～10階に幅があるのは、マンションによって1階あたりの高さが異なるためです。
各戸の天井が高いマンションでは、7階建てでもエレベーターが必要となり、6階以下では不要です。
逆に、各戸の天井が低いマンションでは、10階までエレベーターの設置が不要な場合もあります。

高齢者向け住宅に対する設置基準

建築基準法だけでなく、国土交通省が定めた高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則にも、エレベーターの設置基準に関する規定があります。
老人ホームなどでは、3階以上の建物に対してエレベーターの設置が義務付けられています。
これは、高齢者の方々が年齢とともに移動の負担が大きくなることを考慮し、その暮らしを支えるために設けられた規定です。
フロア間の移動時の安全を確保し、安心して生活できる環境を整えることが目的とされています。
高齢者向けの共同住宅では、各戸のほかに共同で利用する食堂や浴室などの設備があります。
日常的にフロア間を移動するため、3階以上の建物にはエレベーターが設置されています。

自治体による設置基準

建築基準法と国土交通省によるエレベーターの設置基準は、全国を対象とした国のルールです。
一方で、地方自治体によっては独自のエレベーター設置基準を定めている場合があります。
中古マンションを購入する際には、購入を予定しているエリアに独自のエレベーター設置基準があるかどうかを確認しましょう。

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エレベーターなしの中古マンションを購入するメリット

エレベーターなしの中古マンションと聞いて、生活しにくいのではないかと感じるかもしれません。
しかし、エレベーターなしの中古マンションには、いくつかのメリットがあります。

メリット①修繕積立金が安い

マンションに住んでいると、修繕積立金として毎月の支払いが発生します。
エレベーターなしの中古マンションでは、修繕積立金が安くなるというメリットがあります。
修繕積立金とは、マンションの築年数に応じて必要となるメンテナンス費用です。
一般的なマンションでは、外壁の塗装や屋上の防水加工、エレベーター点検、排水管の交換などに使われます。
エレベーターのメンテナンスは高額になることがあり、そのため修繕積立金を高く設定しているマンションもあるでしょう。
しかし、エレベーターがない中古マンションでは、この費用が不要なため、修繕積立金が安くなる点がメリットとなります。

メリット②マンションを安く買える

エレベーターなしの中古マンションは、エレベーターがある中古マンションと比較して、物件価格が安い傾向にあります。
立地、築年数、間取りなどが似たマンションでも、エレベーターがない中古マンションの方が安く購入できることがほとんどです。
エレベーターなしの中古マンションは、利便性が低いと判断されがちで、そのためエレベーターの有無によって物件価格が大きく異なることがあります。
また、売り出し価格がエレベーターありの中古マンションと同程度であっても、エレベーターがないことを理由に値引き交渉に応じてもらえる可能性があります。

メリット③運動習慣が身につく

エレベーターなしの中古マンションに住んでいると、運動習慣が自然に身につきます。
エレベーターがある中古マンションに住んでいる場合、日常生活のなかで階段を使う習慣がつきにくいでしょう。
エレベーターなしの不便さを運動の機会と捉えれば、エレベーターがないことはデメリットとは感じにくいでしょう。

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エレベーターなしの中古マンションを購入するデメリット

エレベーターなしの中古マンションには多くのメリットがありますが、デメリットには注意が必要です。

デメリット①病気や怪我で階段を上れないことがある

エレベーターなしの中古マンションに住んでいると、病気や怪我で階段を昇るのが困難になることがあります。
とくに、4階以上の高層階に住んでいる場合、体調が悪い時や怪我をしている時に階段の利用が苦痛に感じることが多いです。
エレベーターなしの中古マンションを購入する前には、万が一の負担を考慮し、問題がないかを検討しましょう。

デメリット②子ども連れや大きな荷物での移動が困難

子どもと一緒に出かける場合や大きな荷物を持っている場合、エレベーターなしのマンションでは階段の利用が面倒に感じることがあります。
中古マンションを購入した当初は独身やカップルでの生活でも、ライフスタイルが変化し、出産を迎える可能性があるでしょう。
子どもが小さいうちは、抱っこして移動する必要があるほか、ベビーカーを運ぶ必要も出てきます。
また、ペットボトルや米などの重い食料品を持って階段を上る場合、荷物の重さによって疲労を感じやすくなることがデメリットです。
現時点ではエレベーターなしでも問題ないと思われても、将来的なライフスタイルの変化に対応できるかを考えることが重要です。

デメリット③引っ越し費用が高額になる

エレベーターのない中古マンションを購入し引っ越しをおこなう場合、エレベーターがないことが原因で引っ越し費用が高額になることがあります。
エレベーターのある中古マンションであれば、大きな家具の搬入に問題はありませんが、エレベーターがない場合は、荷物を人力で運ばなければなりません。
引っ越し業者に作業を依頼する前に、新居にエレベーターがないことを伝え、見積もりを取ることをおすすめします。
また、引っ越しだけでなく、大きな家具や家電の購入時にも、搬入に追加料金がかかる可能性があります。
さらに、階段の幅や踊り場に十分なスペースがない場合、家具や家電を部屋に運べないこともあるため、注意が必要です。

デメリット④将来的に売れない可能性がある

エレベーターのない中古マンションは、売却を考えても売れない可能性があります。
とくに、4階以上の高層階の場合、買主が見つかりにくいことがほとんどです。
物件価格の安さや運動不足解消といったメリットと、毎日の肉体的な負担を比較すると、購入を決意する人は少ないでしょう。
エレベーターのない中古マンションは、老後を過ごす場所として不安が残ります。
将来的な住み替えの必要性を考慮し、売れやすい物件を選ぶことが大切です。

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まとめ

建築基準法では、高さ31mを超える7～10階建て程度の建物に対してエレベーターの設置を義務付けています。
エレベーターなしの中古マンションを購入した場合、修繕積立金や物件価格が安くなることがメリットです。
ただし、引っ越しや大きな家具の購入時などに追加費用がかかることや、売却しにくいことはデメリットといえます。